炎立つ日々雑記
20250114
年末に毎年、盆栽を送ってくださるメーカーさんがあるのです。お正月らしく万両だったり紅梅だったり、年によっては松竹梅を一鉢に植えた珍しいものだったり。今回は木瓜(ぼけ)を頂戴しました。
いただいた時は、米粒のような小さなつぼみが枝についていた状態で、ちょっと正月には間に合わないかも、くらいの状態でした。日の当たる窓辺に置いておきましたら、仕事始めの4日にはすっかりつぼみは膨らんで「もう少しかな」と期待させる雰囲気に。
成人の日の連休を経て今日見てみたらご覧の通り、こぼれるような満開です。離れたところから見ると、まるで炎が燃え立つような勢いで、凄まじいエネルギーを感じます。
炎(ほむら)立つ。昔の大河ドラマにありましたな。ドラマは見てませんでしたが、そんな言葉が頭に浮かびました。年の初めにいいものを見せていただきました。
佐野成宏氏、逝去音楽ばなし
20250113
駒ヶ根出身で世界で活躍したオペラ歌手、佐野成宏氏が59歳という若さで今月10日に亡くなりました。急性心不全とのこと、あまりにも早い訃報に驚くばかりです。
佐野氏は中学校から合唱を始め、大学生時代にアマチュア合唱団の名門「武蔵野合唱団」で活動していました。そこで指揮者の小林研一郎氏に才能を見出されプロの声楽家を志し、東京芸大の声楽科に入り直してイタリア留学するなどめきめきと力をつけていきました。
輝く美声と豊かな声量で国内外のオペラやコンサート公演で重要な役を次々と演じ、日本を代表する名テノールとして活躍しました。お正月恒例のNHK「ニューイヤー・オペラコンサート」(クラシック界の紅白歌合戦みたいなものです)にも主役級で出演していました。もちろん駒ヶ根でもたびたび演奏し、私もナマで何度も聴いています。20数年前に初めて聞いた時の歌声は、それまで様々なオペラ公演で名歌手の歌に接していた私も驚くような素晴らしいものでした。
残念ながらその後、彼は体のコンディションに変調をきたし、全盛時の声を再び聴ける機会は私にはありませんでした。演奏活動をしばらく休止していた時期もあったようです。それからは後進の教育活動に重きを置くようになり「駒ヶ根高原音楽祭」という若手育成のレッスンと発表会+コンサートを当地で何年も開いていました。
佐野氏は私の妹とかつて同級生だったのですが、病気で長期欠席するなど昔は体の弱い子だったと聞きます。プロの歌手になってからもそのハンディは彼を苦しめていたのではないでしょうか。堂々たる体躯を支える心臓の負担はきっと相当なもので、急逝したのもあるいはそのせいもあったかもしれません。
地元出身で世界に通じるオペラ歌手が生まれたことがとても嬉しかったのですが、第一線で活躍できた期間があまりにも短かったことが悔やまれます。本当に惜しいことでした。
年賀状日々雑記
20250105
好天に恵まれた、穏やかなお正月でしたね。今年も頑張ってネタを探し執筆時間を捻出し、記事を書いていきたいと思います。お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
正月といえば年賀状。子供が家を離れるまでは家族写真を使い、その後数年間は、干支の動物がラベルになっているワインの写真を使ってきました。会社で仕入れて正月用に販売した商品の写真です。申年など探すのに結構骨が折れ、これはどうにか見つけましたが、寅年に至ってついに諦めました。
それ以来、お菓子の写真を使っています。今年は鹿児島の名物「かるかん」の変わり種、霧島市の菓子処森三による「島津公」というお菓子の写真を使いました。なかなか美味しいもので、現地へ行かれる方はどうぞお試しを。
昨年あたりから年賀状はもう卒業という方が増えてきました。今年は郵便料金の大幅値上げという背景もありましたし、さらに多くの方、もしかすると半分位の方からそうした意思表示があるかもと予想していました。意外と(?)そこまでではありませんでしたが、言うまでもなく今後、この流れは続くでしょうね。
だいぶ前から電子メールやLineで年賀メッセージをやりとりする人も増えていますし、私の息子たちも紙の年賀状は全く書いていないようです。年賀状という習慣そのものが、近い将来にはなくなるかもしれません。(実は当社は私が入社する前から、会社としての年賀状は失礼しているのです)
郵便局さんにとって年賀状は、多くの郵便物を一度に配達できますから普通郵便に比べ手間もかからず、ドル箱であったと聞いています。最近はそうでもなかったのかな?値上げが直接の原因でなくても、多くの人や企業団体の背中を押したことは確かです。価格と需要との関係を考える、絶好の材料にはなるでしょう。
2024 蔵出しお店紹介
20241230
今年いただいたおいしいもの記録。備忘も兼ねて蔵出しです。
霧島市「地鶏の里 永楽荘」の地鶏焼き
2月の鹿児島旅行で特に印象的だったのはこれ。焼鳥ではなく「鶏の焼肉」です。いろいろな部位があり、噛みしめてじわっと来る美味しさ、脂の乗りも丁度よし。地鶏って旨いものだと認識を新たにしました。
なお鹿児島市のホテル近くでラーメンを食べましたが、なかなかのお味でスルッと食べてしまいました。「ラーメン豚とろ」というお店、有名店みたいです。
箕輪町「GUUUT(グート)」の発酵タイ料理
知る人ぞ知る、というか全国的に有名になりつつある「里山タイ料理」。完全予約制、一日一客のみ。ワンオペで国産ワインや日本酒とのペアリングも含めたコースのみ、トムヤムクンもグリーンカレーもなく、私たちの知るタイ料理店のイメージを覆す、非常に手のかかった珍しいものを出してくれます。写真の料理は「ヨモギの葉で50℃で加熱した天竜牛、ワイルドルッコラとコシアブラのソース、カリフラワーとブロッコリーのムース添え」だそうです。
東京浅草橋「水新菜館(みずしんさいかん)」
BS-TBS「町中華で飲ろうぜ」で知った、ワインと楽しむ町中華。愉快なご主人はTVで観た通りのフレンドリーな接客でお見事。料理の水準が高く値段も町中華にしては高めですが、頼んでみたいと思わせるものばかりです。隣にワインバーを構えるソムリエの息子さんセレクトのワインもお手頃で結構でした。
東京銀座「マルディグラ」の下仁田ねぎロースト
昨年の締めもこの店でした。今書店に並ぶdancyu1月号(ねぎ特集)の表紙になっているこの料理、単純なローストに見えるのにこんなにジューシーでうまい。今年の下仁田ねぎは大凶作と聞きますが…お肉で有名な店ですから名物のビステッカ(1㎏)は欠かせません。もちろん大勢で食べるのですよ。
他にも印象深かったものはいくつもありましたが、書ききれません。記憶が薄れてしまうし。蔵出しは半年に一度でもいいかもしれませんね。
今年最後の記事になります。来年もいい年になって、色々なおいしいものなどに巡り合えますように。皆様、良いお年をお迎えください。
ジュリエット、天へ日々雑記
20241229
女優オリビア・ハッセー(73)の訃報。自宅で家族に見守られながら亡くなったそうです。
この人のことは昨年1月、本欄で書いたばかりです。代表作「ロミオとジュリエット」の撮影時(15歳)、監督から事前に言われていなかった裸での演技を強要されたとして、映画会社を訴えたニュースを受けてでした。詳しくはその時の記事をご覧ください。
その後どうなったのかなと思っていましたが、訴訟は数か月後に却下されたとのこと。色々なお考えがありましょうが、自身の人生最大のヒット作を貶めるような結果にならず、良かったのでは。ファンの多くもそう思ったのではないですか。
それにしても今年は、例年になく大勢の著名人の訃報に接した年でした。中でも私にとって印象深かった方のお名前を以下に書き記して、偲びたいと思います。
篠山紀信さん
小澤征爾さん
鳥山明さん
マウリツィオ・ポリーニさん
唐十郎さん
キダ・タローさん
中尾彬さん
桂ざこばさん
アラン・ドロンさん
ピーコさん
大山のぶ代さん
山藤章二さん
服部幸應さん
西田敏行さん
楳図かずおさん
谷川俊太郎さん
中山美穂さん
小倉智昭さん
渡邉恒雄さん
鈴木修さん
オリビア・ハッセーさん
ご冥福をお祈りします。
2024年ヒット商品番付(2)日々雑記
20241225
今年は私の知らないヒットが番付の多くを占めていて、コメントできるものが恥ずかしながら、あまりありません。以下、いずれも前頭です。
未来のレモンサワー(アサヒビール)
缶を開けると本物の輪切りレモンが浮かび上がってくる。面白いことを考えたものです。遊び心が商品として結実し、実際に売れたのがとてもいい。
虎に翼
楽しく観ていた方には申し訳ありませんが、このドラマが人気を集めたのは不思議です。6/10の記事で「面白く観ています」と書いたものの、中盤以降、主人公が新潟に赴任してからはもうガッカリの連続。視聴者を啓蒙してやろうという目論見が露骨で、押しつけがましいエピソードの連続に辟易しました。NHKは最近この手のドラマが多い。何か勘違いしているのでは。
置き配元年
元年なんですか?物流への負担がもう限界に近い中、当然の流れですね。
アサイーボウル
見た目と味のミスマッチ。アサイーは十年以上前に展示会で試食しましたが、フルーツのようでフルーツでない、まことにユニークな味でした。何故今頃になって流行っているのでしょうか。
技能賞 謎うなぎ(日清食品)
プラントベースでうなぎ蒲焼を再現ですって。蒲鉾で作られたナンチャッテうなぎを食べたときは本物とかなり距離があると感じましたが、これはどうなんでしょう。
技能賞 エレキソルトスプーン(キリンホールディングス)
今月、ラーメンの一風堂と組んだ本品のプレゼンイベントがあり、ちょうどその日は東京に行く用事があって参加してみたかったのですが、時間が合わず諦めました。味の素が作った同機能の製品の記事を書きました(9/14)。科学の進歩おそるべし。
敢闘賞 侍タイムスリッパー
時代劇の撮影所にタイムスリップしてきた本物の侍。低予算映画ゆえ有名俳優は誰も出ていませんが、じつに面白い。おすすめします。伊那や飯田の映画館ではまだ上映されているようです。
2024年ヒット商品番付(1)日々雑記
20241223
年末恒例、日経MJ紙「ヒット商品番付」が発表されました。例によって感想などを。
横綱(東) 大谷50-50
この番付にこれまで何度、大谷が登場したことでしょうか。ドジャーズに移籍した今季、故障のため投げられず打者に専念したと思ったらここでも打ちまくり走りまくり、前人未踏の大記録を打ち立てました。もう何も言うことはありません。
横綱(西) 新NISA
これまで関心のなかった人たちを投資に振り向けた成果はあったと思います。そのおかげもあって、日経平均は史上最高値の42000円をマークしました。決して悪いことではないと思います。投資ですから儲かるだけではなく損することもあります。皆様、お気をつけて。
大関(東) スポットワーク
「タイミー」に代表されるやつですよね。この地域でどれだけの人が登録し働いているのか全くわからないのですが、私の会社だったらどんな利用の仕方があるか、考えてみたいと思います。ただし仕事の熟練に期待できないのは、覚悟しなくてはなりません。
大関(西) 春「夏夏」秋冬
暑い熱い夏でしたが、これはヒット商品なのか?今年の十大ニュースには確実に入ると思いますが…。今後季節の在り方が変わってくるとなれば、新たなヒットを生み出す環境づくりにはなるでしょうね。
関脇(東) SHOGUN将軍
小結(西) 地面師たち
Netflixなどの配信でドラマを観たことがないのですが、話題作が次々と登場していますね。録画したまま見る暇がなく放置されている番組が山のようにある状況で、新しいチャンネルに手を伸ばすなんて、とてもとても……
関脇(西) グラングリーン大阪
大阪に行く機会がほとんどないため、この言葉自体初耳でした。梅田駅直結の一等地に、芝生と噴水の広大な都市公園なんですと。調べてみると何だかいいですね。生活の楽しさを感じます。オフィスと飲食店で空間を埋め尽くすばかりが、土地再開発ではない。
小結(東) 鰻の成瀬
先週(17日)の記事で書きました。
続きは次回。
1500回日々雑記
20241222
今年10月に行われた衆院選。あちこちの政党から、最低賃金を時給1500円に…という公約というかアピールがされておりました。
野党のみならず自民党までがそう言っていて、与野党が口を揃えた格好になっていました。だったらすぐにでもできるのかと思えば、選挙が終わったら誰も話題にしなくなったというのが、いかにも人を馬鹿にしているように思えます。
それはまあそうなれば、パートやアルバイトで働く人は嬉しいと思います。給料を払う側としてはどうなのか。
他の業界のことはよくわかりませんが、食の領域の事情はある程度理解しているつもりです。飲食店やファーストフードの店員さんが例外なく時給1500円を貰える社会になれば、現状のメニュー価格を目を見張るほど上げるか、いっそ人を使わずできる範囲に商売を縮小するしかないですね。ロボットにもできる仕事はあるでしょうけれど、みんなが高価なロボット社員を雇えるわけでもありません。
年収の壁にぶつかり働く時間をセーブする人が増えれば、いまの人手不足に拍車をかけることになりますし、大都市と地方の賃金や物価の違いというものも考慮されるべきでしょうね。いずれにしてもまだまだ、まったく大雑把な議論です。
ところでまったく関係ないんですけど、中学生のころ、体育の授業で1500㍍走というのをやらされました。私ゃこれが苦手でしてね。長距離を(1500は競技としては長距離ではないが)走ることって本当に駄目です。
一度、冗談半分でスタートで猛ダッシュし先頭を走ってみたことがありました。最初の一周はトップ、そこからどんどん抜かれ、結局最下位に。通知表に書かれましたよ、「自分のペースをつかめずにへばってしまうことが多い」ですって。そういうことじゃないのですが。いや、同じことかな。
どうでもいい与太話ですみません。この記事で、本欄開設以来1500本目になります。1500年とか、1500㌔とか、1500人とか、いろいろ探してみましたが大したネタはありませんでした。
14年と8か月、何とか続けております。2000回目指して頑張りますので、これからもよろしくお願いいたします。
ハイボール 飲みもの、お酒
20241221
先日、とても美味しい「ハイボール」を飲む機会がありました。。
場所は銀座7丁目の「ロックフィッシュ」というBar。雑居ビルの7階で、ちょっとわかりにくい立地です。中に入ると、カウンターはスタンディング。テーブル席が3卓ほど。行ったのは21時頃で大変な賑わいでしたが、ちょうど先客が帰るところで、座ることができました。
この店はハイボールが名物なのです。口コミを検索すれば究極、唯一無二、絶品、と皆さん絶賛です。何種類かあるようですが、基本はサントリー角瓶の復刻版。早速頼んでみると、出てきたものは…
濃い琥珀色。そして氷が入っていません。でもグラスはしっかり霜が降り、口にするとキンキンに冷えています。アルコールはかなり強いとおもいますが、喉に引っかかることも頭にズンと来ることもありません。そしてほのかな柑橘の風味があり、これがひと手間なのでしょうか。実に美味しい。
どこの居酒屋でもハイボールは普通にドリンクメニューに載るようになりました。サントリーさんのマーケティングの賜物ですな。しかし注文してみると味があるようなないような、何だこれは薄い氷水かということも多く、普段あまり飲むことがありません。
本格のオーセンティックバーに行って注文したことがなかったのですが、こうしたシンプルなものにバーテンダー氏の技量が表れるのだと思いますので、これからは機会を見つけて飲んでみたいですね。
なぜウイスキーの炭酸割をハイボールというかは諸説あるそうで、wikipediaには6つの説が載っていますが、私は「ボール信号機説」を支持します。アメリカで鉄道工事の労働者が短い休憩時間で楽しんだ飲み方だとか。ゴルフ場説は、いかにも後付けのような気がする。
ロックフィッシュは簡便ながら美味しいおつまみで有名で、以前から料理雑誌にもよく掲載されていました。今回は満腹で訪れたのでそこまで楽しめませんでしたが、次の機会にはそちらもぜひと思います。
今年の一皿は「うなぎ」うな丼の未来
20241217
毎年師走に発表される、ぐるなび総研の「今年の一皿」。大賞には「うなぎ」が選ばれました。少々首をひねりたくなります…。
選定理由。
・完全養殖の実用化に向けた研究開発の進歩をはじめとし、希少資源であるうなぎを後世に遺すための動きが活発化している
・土用の丑の日やハレの日に食されることが多かったが、加工技術の変化や提供方法の多様化により、うなぎ専門店や取扱店舗が増加し、高級食材としての地位を保ちながらも、以前より気軽に味わえる機会が増えてきている
・インバウンド観光客からも人気を集め、「蒲焼」という日本発祥の伝統的なうなぎの食べ方を世界へ発信する起点の年となった
1番目と2、3番目が矛盾していませんか。完全養殖の技術自体は既にできていて、あとはコストを下げ実用化に向けて向けて研究がされていることを、今年7月24日の記事で書きました。それは将来への希望であって、うなぎが希少資源であることには変わりがないです。
加工技術の変化、提供方法の多様化、海外への発信。それぞれ結構だと思いますが、スタート地点の資源回復にまだ道筋がついていない現状で消費を推奨するにはまだ早い。資源もないものを海外へ発信してどうするのですか。まだまだ早いぜよ。
取扱店舗の増加というのは、たとえば最近急成長で話題のチェーン店「鰻の成瀬」などを念頭に置いているのだろうと思います。職人技に頼らず機械を使ってアルバイトでも蒲焼を焼けるようにし、人件費を節約しているそうです。海外の養鰻場で高品質な鰻を育てていると同社のホームページにあります。その養鰻場にやってくる稚魚は、どこから来るのでしょうか?持続可能な採取方法がされているなら安心ですが、それについての記述はありません。
一度行ってみにゃと前から思っていたらこのチェーン、長野県下にもう7店舗も出店しているのですね。諏訪や岡谷にも来てるじゃないですか。近々偵察してきましょう。
美味しいうなぎをどんどん消費できるまでには、まだもう少しかかるのだと思います。その日を楽しみに待ち、大事に食べていきましょうや。
関連リンク: ぐるなび「今年の一皿」