アートの如き死闘日々雑記
20191118
ボクシング世界一を決めたバンタム級決勝の井上vsドネア戦。多くの読者もTV観戦されたと思います。試合が終わってだいぶ経つのに今なお、あの時の興奮が消えません。日経のスポーツ欄でも、試合から一週間以上おいて武智幸徳氏のコラムを載せました。珍しいことです。
武智氏はふだんはサッカーが専門の人ですが、「あの死闘はアートの域」と題してボクシングの記事を書きました。氏の文脈をなぞってみます。
…多くの人が期待していたのは26歳の若武者井上が、37歳の老雄ドネアに圧勝して引導を渡すことだった。しかしドネアが仁王立ちで行く手を阻んだことで、心技体に知まで備えた両者が「攻防」というまったく別の物語を紡ぐことになった。極めてレベルの高い死闘は、勝ち負けをも時に忘れさせ、試合後の潔い態度も含めて誰が見ても心からの拍手を送ってもらえるような、アートの域に達していた。…
私も試合が始まるまでは、大方の予想通り、井上が短いラウンドでKO勝ちするものと思っていました。しかし第2ラウンドで目の上を負傷出血し、試合は予期せぬ方向へ進みました。井上は持ち前の強打をなかなか出すことができず、一方でドネアのしぶとい打たれ強さとフックの破壊力は驚嘆すべきものでした。
試合後に井上は「相手がずっと二人見えていた」と語っています。これまでの戦績で顔を怪我したことがないという井上ですが、血が目に入り視界を妨げ、また鼻血のため呼吸が乱れ苦戦を強いられていたと聞き、ボクシング漫画の通りだなあ、と思いました。
11ラウンド、井上の強烈なボディーがついにこの試合で唯一となるダウンを奪いましたが、いささかレフェリーのカウントが遅かったとはいえ、死力を振り絞って立ち上がったドネアにも驚きました。試合が終わったとき判定は井上の勝ちだろうとは思ったものの、しかしここまで迫力のあるものすごい試合を見られたことに興奮し、感激しました。
まさにアートの世界。堀口元気と関拳児の死闘(わかりますか?)を現実の世界で見た思いです。試合後、抱き合って讃えあう両者の姿は、決して儀礼的なものではなく、互いに心からの尊敬を込めたものだと誰もが感じたでしょう。井上はこれからさらに強くなってゆく、その背景には、この日の素晴らしい試合がきっと支えになっているに違いありません。
トリッパ食べもの
20191111
牛の~いぶくろは、よっつ~あ~る~。子供が小さい頃、幼児番組で放送されていた歌。団しん也が歌っていました。冒頭のフレーズはノリ良く印象的で今でも口ずさんでしまいますが、その続きは全然覚えていません。
そう、ご存知のように牛の胃袋は4つあります。食肉界での分類では上からミノ、ハチノス、センマイ、ギアラ。実際に人間の胃と同じ働きをするのは第4胃のギアラで、他の3つは消化活動をするわけでなく貯蔵庫だったり反芻のポンプ役だったり、異なる役割があるそうです。
形状や食感、味もにそれぞれの特徴があり、焼いて食べるのはミノ(焼肉屋さんでお馴染み)、ハチノスやセンマイは下茹でしてから煮込みやセンマイ刺などに。ギアラは脂が乗っていて、やっぱりホルモン焼に。
海外でのホルモン食で日本でもポピュラーなのは、イタリア料理で言うトリッパ、ハチノスの部分を白ワインやトマト風味の煮込みにして食べますね。最近はこのへんのイタリア料理屋さんでもときどきお目にかかるようになりました。
好物なのでメニューに見かけると、ほぼ必ず注文します。見た目はいささかグロテスクですが、ムチムチした噛みごたえがたまりません。
もともとの素材には内臓の臭みがそれなりにあると思いますが、しっかり下処理されればどなたにも何の苦痛もなくおいしく食べられると思います。家庭でこんなことをするのは大変でしょうが、高級食材を手掛ける「いちまる」さんから、あらかじめ処理して茹でてある冷凍のトリッパが出ています。
ずっと前に購入したのを忘れていて、週末に引っ張り出し妻がトマト煮込みを作りました。こんなに大量のトリッパが入ったお皿は、なかなかお店では出てこないでしょう!味付けも結構でしたよ。次回はまた違うスタイルで食べてみたいなと思います。衣をつけてバター味のカツにしてみるとか、どうでしょうか。
ハチの巣蜜食べもの
20191107
弟が知人から頂戴したというミツバチの巣をおすそ分けしてもらいました。六角形の穴の中に詰まっているのは、蜂の子ではなくて、ハチミツです。
昔、高級食料品店の店頭で見つけ「どうやって食べるんだろう」と思いました。「コムハニー」というそうです。巣のサクサクしたところも一緒にすくって食べます。いただいたやつは独特の汗のような匂いがしましたが、甘い蜜の味は濃厚で口に入れれば気になりません。
巣も蜜も、いずれも成分はハチの分泌物ですから、巣だって食べられるわけですよね。ご近所で採取されたこのような珍品(と言っていいでしょう)をいただけることはまことに幸せ、まさに「物くるる友」のありがたさというものです。
高級なホテルの朝食バイキングで、巨大なミツバチの巣がスタンドに据え付けられ、そこから滴り落ちた蜜をすくい取ってパンにつけて食べられるようになっているのを時折見かけます。まことに物々しい代物で、初めて見たときには少なからずぎょっとしました。あの時は巣まで削って食べるようにはなっていなかったかな。
この写真を撮るとき、あまり考えずに近くにあったお皿に乗せましたが、同じディズニーだったらもっと別のキャラクターの方が良かったですね。中国では見ることができないという、アレですよ、あれ。
架空請求ハガキ日々雑記
20191105
家人宛てに届いた怪しげなハガキ。読者諸氏のところにも送り付けられたことはありませんか。
一応法学部を出て法律の事もかじっておりますし、自分で裁判を起こした経験だってありますから、私はこのハガキのデタラメさをいくらでも指摘できますが、ふつうの人だったらビビッてしまうのかもしれません。明らかな「架空請求詐欺」の引っかけハガキです。
最初から最後までまともな日本語になっていませんね。のっけから「この度、ご通知致しましたのは…ご通知致します」って、何ですかこの文章。「差し押さえを強制的に執行証書の交付をご承諾いただきます様お願い致します」ですって、お願いされちゃいましたよ。承諾しなければ強制執行されないで済むのかね。
「裁判取り下げ」は訴訟を起こした側がすることで、被告側に取り下げるかどうか選べる余地などあるわけがない。「お気軽にお問い合わせ下さい」突然ソフトな文面になって、一体どうしちゃったの?「プライバシー保護のため」なんて書いてありますが、この文書ハガキで届いているんですよ。初めからプライバシーも何もないじゃん。
裁判所から訴訟手続き開始の通知が来る場合は「特別送達」という特殊な郵便で送られます。ハガキ(それも、いかにもダイレクトメール感丸出し、宛名は印刷)でこんなもの送ります?だいたい「誰が」貴方を訴えているのかも知らせないで、裁判始められるわけないでしょう。
民間訴訟告知センターとありますが、「民間訴訟」なる単語、初めて見ましたなあ。民事訴訟なら知ってますけど。受付時間夜8時までやってるんだ、土曜日も。この手のお役所にしてはサービスいいですね。
という代物で、こういうものが届いたら丸めて屑籠に捨てましょう。いい例だと思ったので、こんなもの相手にするなよと書いて社内回覧しました。しかし…もうちょっと本物らしいもの、作れなかったのか?
権兵衛トンネル、橋崩落しごと
20191031
10月は本当にいろいろなことがあった月でした。1日には消費税率が上がり軽減税率が導入され、当社も請求処理などのシステムを変更しました。22日には天皇陛下の「即位礼正殿の儀」が行われ、名実ともに新天皇のお披露目の日となりました。ラグビーワールドカップでは我が日本チームが大活躍し、伝統国に交じってベスト8に進出する快挙でした。
駒ヶ根市では駅前広場の工事が完成し竣工式が行われ、駒ヶ根の財産である海外協力隊訓練所は開所40周年のお祝いを行い、商工会議所では3年に一度の役員改選があり私は引き続き副会頭を務めることとなりました。当社は今年も盛大にグランドフェアを開催し、その間を縫ってメーカーさん商社さんの特約店会議で仙台や東京に3回出張するなど、まことに目まぐるしい一ヶ月でした。
そして立て続けに各地を襲った台風や豪雨災害。特に同じ信州で起こった千曲川の決壊は、予想もしない大規模な被害をもたらしました。それでも長野県南部では、人や建物の被害はほとんどないと思っていたらどっこい、いつの間にか大きな被害が起きていました。伊那と木曽をつなぐ国道361号、権兵衛トンネルに接続する橋が崩落したのです。
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(信濃毎日)上伊那郡南箕輪村の国道361号権兵衛トンネル入り口付近で見つかった土砂崩落の影響で、幅10.5mの国道の本線が長さ5~6mにわたって落下していることが23日、分かった。(中略)橋台付近の土砂が雨や地下水で大きくえぐられ、道路の下に地面がない状態になっていた。一帯は現在、通行止め。県伊那建設事務所は、少なくとも年内の復旧は難しいとの見方を示している。
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これは困りました。2006年に供用開始された権兵衛トンネルによって伊那谷と木曽谷を結ぶ交通が開け、今では通勤や物流、観光などに欠かせない道となっています。当社もおかげで木曽のお客様と新しくお取引いただくようになり、多くの商品をこのルートで運んでいるのです。
迂回路は塩尻回りということになりますが、これまでより2時間近く時間がかかるということで、担当者はたいへん苦労しています。今は紅葉シーズン、そして冬からはスキー場も始まりますが、お客様にはご迷惑をおかけしてしまうと思われます。自然災害とはいえ申し訳ないことです。
上の記事には「少なくとも年内」とありますが、いやいや半年一年くらいかかってしまうのではと危惧しています。通勤の不便、沿道のお店の商売、影響は大きいです。これから冬を迎え工事にも不便があるとは思いますが、何とか一日も早い復旧を!
辛くておいしい食べもの
20191028
香辛料メーカー、テーオー食品さんのラインナップです。先日のグランドフェアでも好評でしたので、ご紹介を。左から、しょうが極みだれ、にんにく極みだれ、花椒辣醤。
左の二つは今秋の新製品。それぞれザクザクに刻んだ食感のしょうがとにんにくがたっぷり入り、焼き肉にからめればたちまち生姜焼きやスタミナ焼きになる。同種の「たれ」は各社から出ていますが、これはなかなかのすぐれものですよ。
サンプルを頂戴して家に持って帰り、妻に食べさせたところ「おいしい!おいしい!」と、とりわけにんにく極みだれがお気に召した様子です。私も一緒になって「唐揚げ」につけてむしゃむしゃ食べましたが、寝床に入ってからもにんにく臭くて参りました。食べ過ぎ、使いすぎにはどうかご用心を。
さて本命は「花椒辣醤」です。今はやりの花椒をたっぷり使ったマーラー味のたれ。パッケージには「よだれ鶏ソース」とあります。棒々鶏のソース、もしくは激辛麻婆豆腐の基になる味、ですね。
これが美味しいのですよ。香り高い中国山椒に程よい唐辛子の辛味が相まって、何につけてもおいしいです。少しだけというのがポイントで、多すぎると何につけても同じ味になってしまうのが難点。
ラー油代わりに餃子につけてみたり、うどんやラーメンにちょいと落としたり、もちろん焼肉や唐揚げにも最高。今日はポテトサラダに少し塗って食べてみましたが、マヨネーズ味にも絶好の相性です。
ぜひ冷蔵庫に1本。お試しください。
街中にサイボーグ (2)日々雑記
20191024
石巻市街のサイボーグ紹介、続き。。
001 イワン・ウイスキー(ロシア人)赤ん坊にしてエスパー。一か月の半分は眠っている。多くのエピソードでは最後に彼が超能力を発揮して物語は解決する。
005 ジェロニモ(アメリカインディアン)怪力無双かつ寡黙な心優しき人物。
006 張々湖(中国人)口から超高温の炎を吐く料理の達人。007と共に作品のコミカル描写を担う。
007 グレート・ブリテン(英国人)細胞を変化させてさまざまな姿に自在に変身できる。皮肉屋。
この9人に、彼らを作った科学者ギルモア博士を加えた10人が、素晴らしいチームワークで悪と戦うのです。
1964年の連載開始ですから、登場人物にも時代を感じますね。たとえば006なんて昔の変てこな中国人のイメージそのままですが、現在は中国人をこういうキャラクターで描くことは考えづらいです。
世界各国から集まった9人の出身国を見ると、ヨーロッパ4、北米2、アジア2、アフリカ1(008なんて「アフリカ人」としか設定されていない。アフリカったって広うござんすよ)。今だったらヒスパニックや中東圏が入ってきそうです。またポリコレ的に見れば、サイボーグ「戦士」とはいえ、女性が一人というのも少ないと言われるかもしれません。
鳥取県境港市はゲゲゲの鬼太郎タウンとして観光的に大成功しています。石巻がそのレベルで成果を上げているのかは詳しくないですが、サイボーグや仮面ライダーが災害復興の手助けにきっと活躍していることと思います。
関連リンク: 石ノ森萬画館
街中にサイボーグ (1)日々雑記
20191022
石巻へ行って、つらい遺構だけ見てきたわけではありません。石巻は漫画家石ノ森章太郎のゆかりの地です。彼は宮城県登米郡石森町の出身ですが(ペンネームの由来)石巻との関係は彼の少年時代にあります。
当時石巻にあった映画館に、石ノ森少年は自転車で3時間かけて頻繁に通っていて、そこで将来の漫画家の素養となるエッセンスを身につけた。のちに石巻の人々がマンガによる街おこしを発案し、石ノ森氏に話を持ちかけたところ漫画家は快く承諾し、2001年に「石ノ森萬画館」が開館し今に至っているのです。
彼の代表作「サイボーグ009」の素晴らしさは、17年12月に2回にわたって本欄で取り上げています。作者の死で未完に終わった「天使編」を遺されたスケッチや構想メモを基に完成させた「完結編」は、まずノベライズで、その後コミック化され、いずれも読みました。読後感は、失望としか言うことはありません。
石ノ森作品のミュージアム、石ノ森萬画館は作者が通った映画館のある中瀬という場所にあります。文字通り旧北上川の河口に近い中洲にあり、東日本大震災のときには津波に洗われ大きな被害を受けましたが、全国からの励ましを受けて1年8か月後に再オープンすることができたとのこと。今回は萬画館のすぐ近くまで行ったのですが、残念ながら時間がなく見学はパスしてしまいました。
市街地にはサイボーグや仮面ライダーなど石ノ森作品の主人公たちの像があちこちに置かれ、街を代表するモニュメントになっています。せっかくですからね、せめて大好きなサイボーグ009たちはコンプリートしようと街歩きをしてみました。
幸いに、わりと狭い範囲で9人のサイボーグ全員と遭遇できました。せっかくですのでご紹介します。
002 ジェット(アメリカ人)マッハの速度で空を飛び、宇宙空間に行くこともできる
003 フランソワーズ(フランス人)人間の数千倍の聴力と視力を持ち、透視能力もある 主人公009の彼女
009 島村ジョー(日本人)加速装置を持ち常人の目に見えないほどのスピードで活動できる
008 ピュンマ(アフリカ人)水中に特化した能力、高速で泳ぎ深海で自由に活動することもできる
004 ハインリヒ(ドイツ人)指先はマシンガン、手の甲はナイフ、膝にはミサイル、全身が武器の固まり
(以下次回)
大川小学校の悲劇日々雑記
20191020
先日仙台へ出張があり、久し振りに東北地方を訪れ、時間をみつけて仙台から1時間ほどの石巻市に行ってみました。東日本大震災で大きな被害を受けたところです。津波で大勢の児童と教員が亡くなった大川小学校の現場を見てみたいとずっと思っていました。
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(Wikipedia) 2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う津波が本震発生後およそ50分経った15時36分頃、三陸海岸・追波湾の湾奥にある新北上川(追波川)を遡上してきた。この結果、河口から約5kmの距離にある学校を襲い、校庭にいた児童78名中74名と、教職員13名中、校内にいた11名のうち10名が死亡した。スクールバスの運転手も死亡している。学校の管理下にある子どもが犠牲になった事件・事故としては戦後最悪の惨事となった。
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石巻駅からタクシーでたどりついた場所は、川と山に挟まれた小さなスペースでした。コンクリート造りの廃墟がポツンと寂しげに残っています。周囲に建造物は何もありません。曲線を多用した、建設当時はなかなかモダンな建物だったのでしょう。
学校から裏山の近いことに、たいへんな衝撃を受けました。(写真3)校庭で津波が来るまで何十分も鳩首協議を続けている間に、何で、何で、この山に登らなかったのか。小学生の足でも、簡単に登れるではありませんか。大津波警報はすでに出されていました。河口から4㌔しかないこの学校まで津波が来ることを、どうして想像しなかったのだろう。
関係者らしき方がいて、少しお話をしました。長野県から来たというと「遠くから来ていただいてありがとうございます」と丁寧に挨拶され、あちこち指差しながらあの日何が起こったのかを教えていただきました。(写真2参照)
…あの窪みの場所で40人の子供たちが遺体で見つかった。津波の勢いで跳ね飛ばされた子が一人助かった。白い杭が立っている高さ(写真3の右側)まで津波が来た。学校の周囲は民家がびっしり立ち並んでいたが、全部流された。大津波が引いたあとで別の場所からここまで流されてきた中学生がいて、校舎に一晩しがみついて翌日救助された。…
この方は、注意深く言葉を選びながらも、無為無策ゆえに多くの犠牲者を出した大人の責任を訴えていると感じました。私は校舎と裏山を見ながら涙があふれてきて、ここはこのような悲劇が起こってよい場所ではない、こんなひどいことが絶対にあってはならないのだ、と強く思いました。
待っていてもらったタクシーでの帰り道、運転手さんは「まさかこんなところまで津波が来るとは誰も思わない、結果論ではないか。死んでしまった先生たちの責任を問うのは無理ですよ」と言っていました。なるほど地元でもいろいろな考え方があるなあ、とお聞きしました。まったく偶然ですが、県と市の責任を認める最高裁の判決がこの日、私が帰途についてから示されたのでした。
廃墟となった校舎を残しておくのに賛否両論があったと聞きますが、震災から8年半がたって、私のような者でも現場に立って思いを巡らすことができることに感謝したいと思います。
マラソンは札幌にて日々雑記
20191019
ある人は寝耳に水ならぬ、「寝耳に熱湯」と言ったそうですが。開催まで10ヶ月足らずの今になって、五輪でのマラソンと競歩の会場が東京から札幌に変更されることになりました。
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(FNN)IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は17日午後、カタールのドーハで開かれているオリンピック関連の会合の演説で、東京オリンピックのマラソンと競歩の会場について、「IOC理事会と大会組織委員会は、札幌市に移すことに決めた」と述べた。
バッハ会長は、「選手たちの健康を考えた結果」だとし、両者の間で合意したとしている。
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これはもう、しょうがないですね。昨年夏の猛暑、それに先月ドーハで行われた世界陸上では、深夜のレースにもかかわらず多くの選手たちが途中棄権したことを考えれば、東京の真夏に何十㌔も走らせることの危険は明らかです。私、死者が出るのではないかと本気で心配していました。
暑さはずっと以前から指摘されていたことで、万全だと胸を張っていた東京都と組織委の対策なるものが、舗装改修はともかくとして「打ち水」「かちわり氷」「帽子日傘」「街路樹」それに撤回されましたが狂気の沙汰「サマータイム臨時導入」では、お前ら真面目にやってんのか、と言われても仕方がないですね。
とはいえ、ここまで膨大な工程表をこなしてきた五輪スタッフや警備関係者はまさに寝耳に熱湯、茫然でしょう。東京都の頭ごしに決められたことで小池都知事はご立腹みたいですが、今までご自分が思いついた出鱈目のプランで多くの人々を右往左往させ、多大な損害を与えてきたことにも少しは思いを巡らすといいです。
地の利を生かして、先月に本番を想定した選考レースを行ったこともパアになってしまいました。これはまったく残念、選手の心中も複雑だろうと思います。想定してきたレースの組み立てを根本からやり直さなければなりません。
そもそも莫大な放映権料を払うアメリカテレビ局の意向に沿って、真夏の開催にこだわるIOCが無理を押しつけていることに諸悪の根源があることは言うまでもありません。五輪開催可能な世界の大都市で平均気温がどんどん上昇しているわけで、次回以降の五輪だってどうなるかわかりませんよ。
これまでのことはもうご破算にして、札幌開催で全力を尽くすしかないですね。いっそ、選手を汚わいの中で泳がせることになりそうなトライアスロンこそ東京湾から他の場所に持って行ったらいいですよ。